被災者対象の高速道無料化へ証明書申請殺到

東日本大震災の被災者を対象に6月20日から東北地方の高速道路が無料化されるのを前に、料金所で提示する証明書の申請が各自治体に殺到しています。岩手県内では深刻な被害がなかった内陸部の自治体が、独自に震災直後に停電した世帯への被災証明書発行などを相次いで決定しました。一方、仙台市など宮城県内の自治体は、証明書の発行対象は「動産、不動産に被害があった世帯」としており、岩手に比べ、宮城では無料化の恩恵を受けにくくなりそうです。

高速道路を無料で利用するには、市町村が発行する罹災(りさい)証明書か被災証明書が必要。国土交通省によると、罹災証明は損壊した建物の程度により認定基準などを国が示しているが、被災証明には基準がありません。
岩手県矢巾町は、県内で最も早く6月16日に発行を始めました。事前に国土交通省などに問い合わせたところ、「被災証明の発行基準は各自治体の判断により運用される」との回答があり、停電世帯への発行が可能と判断したということです。

矢巾町総務課の菊池清美課長補佐は「町民の利益を一番に考えた」と説明します。
同町役場の窓口には6月17日午後、証明書の発行を待つ長い行列ができました。町は無料化が始まる6月20日までに、町民の半分が申請に訪れるとみて週末返上で窓口を開く方針です。

岩手県内陸部では、同じく停電世帯を対象に発行する自治体が平泉町(18日)、遠野市、八幡平市、雫石町、岩手町、滝沢村(以上20日)一関市(24日)と続出しています。盛岡市は地震当日、市内にいた全ての人に20日から発行します。
北上、奥州の各市のように「家屋や家財の損壊以外で発行する予定は今のところない」とする自治体は少数にとどまります。
震災被害の大きかった山田町で、経営する飲食店が津波で流された男性(49)は「内陸部の人が恩恵を受けるのはいいが、国に大きな財政負担を伴う。国はもっと被災地の復旧に財源を向けるべきだ」と話しました。

独自の被災証明書ではなく、罹災(りさい)証明書と罹災届出証明書の発行で無料化に対応する仙台市でも、両証明書の申請件数が、再び急増。広範な津波被害でただでさえ繁忙を極める中、仙台市は、高速道路の無料使用にまで証明書の使途を広げた国の決定に対し、「本来の復興業務に支障が出る」と不満を募らせています。
市内では、罹災証明と罹災届出証明の申請件数は6月12日現在、10万3379件に上っています。仙台市は7月末までの発行完了を目指し、他都市や国税局の応援を得て連日、400人態勢で作業に当たっていますが、罹災証明の処理率は54%にとどまっています。
罹災証明、罹災届出証明を合わせた週間申請件数は、4月上、中旬をピークにいったん減少しましたが、国土交通省が無料化の概要を公表した今月1日ごろを境に急増しました。
5月30日~今月5日の週は1万367件と震災以降最多となり、6~12日には1万4980件に達しました。市は次善の策として臨時職員を約20人雇用し、区役所に専用窓口を設置し、高速道利用者向けに書式も変更しました。
建物や動産の被害程度を認定する罹災証明書の発行が遅いと批判され、迅速化に取り組んできた市は、唐突な使途の拡大に振り回されています。
市財政局は「復興業務の妨げになりかねず、国の対応に疑問は残るが、罹災証明を本来必要とする被災者に迷惑を掛けないように努めたい」と話しました。
国交省高速道路課は「無料化は復興支援が目的で、被災者を定義する書面は必要。罹災届出証明書でも当面利用できるようにし、罹災証明書の発行が遅れている実態に配慮した」と弁解しているのです。

メモ
[罹災証明書と罹災届出証明書] 罹災証明書は建物の被害程度を、罹災届出証明書は動産を含めた被害の届け出をそれぞれ市町村が認定する。罹災証明書は被災者生活再建支援制度の利用や災害義援金の受給、応急仮設住宅への入居申し込みなどの際に必要で、現地調査を行うため発行までに時間がかかる。罹災届出証明書は窓口で即日発行される。

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