5. フランス語のcomprendreとは?

こんにちは。
網野智世子です。

前回のメールで、

名詞・形容詞は「静止画的」、
動詞は「動画的」・・・

ということを書かせていただきました。

また、

名詞・形容詞は「三次元的」
動詞は「四次元的」

という表現も近いと思います。

この「イメージ」は今後、
動詞を使いこなしてフランス語習得を
加速させる上でとても重要ですので、
心に留めておいてください。

そして、私たち人間はすべて、
時間の流れの中で生きている、
ということも・・。

このことは自然科学的にも
否定できない真実です。

そして、

人間は「言葉」をコミュニケーションの道具としているため、
意識的にも無意識的にも、時間概念を言葉に反映させている

と言えます。

ここで、「時間概念を言葉に反映させる」と聞くと、
午前6時30分といったような具体的な「時刻」とか、
2011年7月何日といったような年月日、
あるいは「早朝」「夜遅く」といった
時間帯を表す名詞あるいは副詞をイメージされるかもしれません。

しかし、
このような言葉は時間に関係することがらを
「表して」はいますが、

その言葉自体が時間の流れを持って
(硬い言葉でいえば「内包して」・・なお、英語ならinvolve、
フランス語ならcomprendreという適切な動詞で表せます・・・)
いるわけではありません。

これに対して、
午前6時30分に「起きる」とか、
夜遅く「帰宅した」といったような動詞は、
それぞれがどんなに短いものであっても
時間の流れを持っています。

(「起きる」「帰宅する」は能動的な動作なので
わかりやすいですが、
「停滞する」といった動作性の乏しい動詞であっても
「時間の流れ」を持つことに変わりはありません。)

このように、

動詞はそれ自体が時間概念を持っているが故に、
人間の言葉の中で重要な地位を占めている・・・

というのが私の仮説です。

ひとことで言えば、

人間はすべて時間の流れの中で言葉を持って
生きていること、
そして動詞は唯一「時間を持った」言葉だからです。
?

そして、このように人間にとってとても重要な
「時間」を表す「動詞」に強くなることによって、
フランス語の習得は非常に効率的になるのです。

「でも・・・、

 動詞に強くなる

 とはどういうことでしょうか?」

そういう疑問が湧きますよね。

それにつきましては、
近いうちにまたメールさせていただきますね。

網野智世子

網野式・動詞フォーカスフランス語入門【ネイティブ音声付き・メールサポート付き】~本物のフランス語を身につけたい方へ~

4. フランス語の動画と静止画

こんにちは。
網野智世子です。

前回のメールでも書かせていただきましたが、

「動詞」の「動」は「時間とともに」
ものごとのありようが持続する、
あるいは変化する、

ということなんですね。

いってみれば、

動詞は四次元的な言葉

といえます。

動詞の持つこの特徴は、
他の品詞にはないものです。

たとえば日本語の品詞の中で、
助詞や接続詞などの付属語は置いておいて、

名詞や形容詞、副詞などの自立語を
動詞と比較してみると、
それぞれの言葉の持つ内容は
時間的には「止まっている」、

言い換えれば「三次元的世界」の
言葉であることがわかります。

このことは、
あなたが目で見ているものを
言葉で表そうとしてみると
実感しやすいと思います。

例えば、
道を歩いていて赤信号で立ち止まった
とします。

単純に「信号」について表してみましょう。

「赤信号」とか、
「信号は赤だ。」
などと名詞だけあるいは名詞と形容詞系統
(「赤だ。」は形容詞プラス助動詞だと思います)
で表すと、

イメージ的に「静止している」感じですよね。

あるいは、
ある一時点の画像を切り取ったような感じかもしれません。

他方、
「信号が赤になった。」
と表すと、「なる」という動詞を使うことで、
イメージ的に「時間の幅がある」あるいは

「動画的」な感じがしませんか?

これは、直訳的に表してみるともっとはっきりします。

「赤信号」なら
red signal(フランス語でいえば(le) feu rouge),

「信号は赤だ」なら
The signal is red (now).(Le feu est rouge. )

そして「信号が赤になった。」だと
The signal turned red. 
(Le feu passe au rouge.)
になります。

名詞・形容詞は「静止画的」、
動詞は「動画的」・・・

これは、フランス語をはじめ、全ての語学学習を
進める上で重要なヒントになります。

名詞・形容詞は「静止画的」
動詞は「動画的」

ぜひ覚えておいてください。

網野智世子

網野式・動詞フォーカスフランス語入門【ネイティブ音声付き・メールサポート付き】~本物のフランス語を身につけたい方へ~

3. フランス語と四次元

こんにちは。
網野智世子です。

多言語で日記を書こうとすると
いろいろな言語の辞書を引きまくる
ことになります。

この作業の中で、

「特に頻繁に辞書を引く単語がある・・・」

ことに気づきました。

それは、
「いつ」という時間に関係する副詞
(あるいは副詞句・副詞 節)の表現と、
「なにをする・した」つまり動詞の
語彙や活用形についてでした。

英語は動詞の活用パターンが少ないですし、
中国語やインドネシア語のように
動詞が活用変化しない言語もある一方で、

フランス語・スペイン語などの
ラテン系ヨーロッパ言語などは
動詞の活用を覚えることが大仕事になります。

「辞書を頻繁に引く」ということは、

それだけそのことを書く頻度が高い

ということです。

そこで、

「なぜ、時間関係の言葉と動詞が特に多いんだろう・・・?」

「そしてそもそも、動詞の「動」ってどういうことだろう?」

と考えるうちに、
こんな考えが浮かびました。

「動詞が時間概念を持っている」

のではないか?

・・・動詞が時間概念を持っている、
と聞くとあなたは
「現在形とか過去形とかの時制があるから?」
と思うかもしれません。

確かにそれもここでいう「時間概念」にあたります。

他方、上に述べたように、
言語によっては時制を持たないものもあります。

時制の有無だけでは他の品詞と区別できない、
とすれば・・・。

何語であるとにかかわらず
「動詞」には共通する「何か」があるのではないか。

動詞はそれ自体が「時間概念」を持っていること。

そして私たち人間がみな「時間」の中で言葉を使って
生きているからではないか・・・。

ということで広辞苑で「動詞」を引いてみると、
次のような説明がありました:

「動詞:事物の動作・作用・状態・存在などを時間的に持続し、
また時間的に変化していくものとしてとらえて表現する語。(以下略)」

これを英語に訳すと次のようになります:

“A word by which we express motion, action,
status or existence of things as lasting/continuing
or changing/transforming itself following TIME…”

つまり、「動詞」の「動」は「時間とともに」
ものごとのありようが持続する、あるいは変化する
ということなんですね。

いってみれば、動詞は

「四次元的な言葉」

といえるかもしれません。

次回は、動詞のこの「四次元的な」性質について
さらに掘り下げてみたいと思います。

網野智世子

網野式・動詞フォーカスフランス語入門【ネイティブ音声付き・メールサポート付き】~本物のフランス語を身につけたい方へ~

2. 自称フランス語もできる人に

こんにちは。
網野智世子です。

前回のメールでは、
私が効率的に英語・フランス語その他
多言語を短期間で習得できたのは、

「動詞」を活用したから、
ということを書かせていただきました。

私は現在、多言語で翻訳や語学教材執筆、
語学指導などの仕事を行っています。

行政書士資格を持っていることもあり、
当初は法律関係の書類の翻訳からはじまりました。

現在では多くのお取引先会社より幅広い分野の
翻訳業務をお受けしています。

現在、プロ翻訳の業務を行っている外国語は10ヶ国語です。

さらに、動詞に着目した語学習得の可能性を探る目的もかねて
約40ヶ国語ほどの外国語を並行して学習・研究しています。

その一方で、個人的な話に移りますと、
肢体不自由児の小学4年生の長女を筆頭に
小学2年生の次女、保育園の年長の長男、
同じく年少の三女の合わせて4人の子供の世話に
追われる毎日です。

翻訳業務をしながら、新言語の研究をしながら、
家事をしながら、子育てをしながら、
毎日家中誰か飛び回り、大変な状況です(笑)。

また、昨年の春から文武両道を目指して(!?)
地域のママさんバレーチームに入りました。
(中学・高校では一応バレー部に入っていました・・・。
ちなみに左利きで、サーブやアタックも左打ちです)

見た目は決してバイタリティに溢れているというわけではなく、
子育てに苦労する不器用な母親ですが、
「多言語習得を目指せることや、それを活かせる仕事ができること」
に大変感謝しています。

多言語にかかわっている・・・
といっても、

実は留学経験もなく、
海外は短期間の旅行しか行ったことがありません。

しかも、
旅行で行ったことがある国もほぼ全て英語圏のみです。

そのため、かつては

「外国に住んだり留学したりしなければ、
外国語は身につかないだろう・・・」

と思い込んでいました。

大学在学中に司法試験受験などを思い立ったこともあり、
外国語の勉強などは「贅沢」の部類でした。

フランス語についても、大学1・2年の第2外国語で少し学習し、
その後何度か思い立って挑戦したのですがそのたびに挫折していました。

周囲にいた「フランス語が話せる人」はみなフランス語圏の
帰国子女か留学経験者ばかりだったので(今から思えば、
学生の段階では同年代に「大人になってからフランス語を
身につけた人」がいないのも当然だったのですが・・・)

そういう人でなければ身につかないだろうという、
勝手な「閉塞感」 を持ったりもしていました。

しかしその後、30歳になった頃に、
司法試験をあきらめたあと、
どうしても何かしなければ、
ということで英語が身につきました。
(その際に「動詞」に着目した学習法を
発見したのです)

そして同じく30歳のとき、
行政書士の試験勉強中に実務家講演会で

「行政書士業務では、スペイン語とポルトガル語が使える」

と聞いたことがきっかけで、その2言語の勉強を始めました。

「国内でも仕事で使える!」
という明確な動機づけがあったことや、
英語力アップによって英語からのアクセスが可能になっていた
こともあって、スペイン語とポルトガル語は始めて
7、8ヶ月くらいで日記が書ける程度の力がついていました。

それでもフランス語はその時点では

「頭の容量が足らない」
(この感覚ははっきり覚えています・・・)
感じだったのですが、

2002年6月のサッカー、
日韓ワールドカップの開幕戦(セネガル-フランス戦)
がきっかけで私は
「自称フランス語もできる人」に変わりました(笑)。

というのも、そのとき
旧仏領の西アフリカの小国セネガルが、
「宗主国」でもある1998年大会優勝国の
フランスに勝ってしまったのを見て、

なぜか
「フランス語をやろう!」
という意欲がわきあがったのでした。

試合の後、その頃英語で書いていた
「行政書士業務紹介レジュメ」(自分の営業用)を
勢いでフランス語で書いてみたら・・・

「なんだ、書けるじゃないか。」

その後、発達の遅い長女の子育てや度重なる(^^;)出産、
赤ん坊の世話などで四苦八苦しながら、
取引先会社さんからの多言語翻訳受注などを経て、
仕事で使うことができる外国語は10ヶ国語くらいになりました。

そんな中、取引先会社からの依頼で英語勉強法教材を
作成する機会に恵まれました。

教材を作り、その後のユーザーサポートで質問に
答えたりする中で

「動詞をキーワードにした語学習得の秘訣」

が明確にまとまってきました。

すなわち、私からみて、外国語を習得する秘訣は
1.その言語の動詞に強くなる(語彙を身につける)こと
2.「動詞を軸にして」その言語の文法・表現を学ぶこと
そして、
3.その戦略のもとにその言語の話者と積極的にコミュニケーションをとること

この3点に集約することができます。

・・・言語における「動詞の大切さ」を悟った一番のきっかけは、
当時私が自分のブログに毎日アップしていた多言語日記でした。

多言語で日記を書こうとするといろいろな言語の辞書を
引きまくることになります。

この作業の中で、
「特に頻繁に辞書を引く単語がある・・・」
ことに気づきました。

それは、「いつ」という時間に関係する副詞(あるいは副詞句・副詞節)
の表現と、
「なにをする・した」つまり動詞の語彙や活用形についてでした。

・・・と、
ここまででかなり長くなってしまいましたので、
次回につづきますね。

網野智世子

網野式・動詞フォーカスフランス語入門【ネイティブ音声付き・メールサポート付き】~本物のフランス語を身につけたい方へ~

1. フランス語と動詞

「あなた、いつになったら合格できるの?」

これは、1970年生まれの私が、
29才の時に母から言われた言葉です。

私は今でこそフランス語をはじめ、
英語、中国語、スペイン語など10ヶ国語
を駆使してでプロ翻訳者として仕事を
させていただいておりますが、

私が最初の外国語である英語の
学習を本格的に始めたのは

30才になってからでした。

なぜそのようなことができたのか?

それをご説明するためには、
私が一番最初の外国語である
英語の学習を開始したきっかけまで遡って、
お話させていただく必要があります。

少々回り道に思えるかもしれませんが、
フランス語習得のための重要なヒントが
含まれている内容になります。

冒頭の、

「あなた、いつになったら合格できるの?」

この言葉を言われたのは、
当時私が毎年受験していた司法試験を
8年間連続で失敗した直後でした。

母から言われたこの言葉は、
言いづらそうな、あきれたような雰囲気の
母の声とともに今でも鮮明に記憶しています。

学生時代から司法試験の勉強をはじめ、
寝る時間も友人と遊ぶ時間も削って
文字通りガリガリと打ち込んだ勉強。

受験勉強のため就職もせず、
アルバイトしか経験のない29才。

人づてに学生時代の知り合いが
続々と結婚、海外勤務、昇進・・・
華やかに活躍をしているのを
聞くたびに、私の心は
深く沈んでいきました。

もうすぐ30才・・・。
いつまでこんな生活が続くんだろう・・・。

もう嫌だ・・・。

もしあなたが今まで、
語学の学習などで挫折をしたことが
あるのなら、

当時の私の気持ちを想像いただけるかと
思います。

語学学習をしていると、

「この単語はどうしていつも
覚えられないのだろう・・・。」

「どうして相手が何て言っているのかが
聞き取れないんだろう・・・。」

「どうして何度言っても、
私の発音は通じないんだろう・・・。」

悔しい、情けない・・・。

このような感覚を、
あなたも味わったことがあるでしょう。

私の受験時代も、
まさにそのような感情の連続でした。

その後、私は30才になり、
8年間続けた司法試験の受験を
諦めました。

その後1週間以上は、
何も手につかず、
廃人のように「ぼうっと」していたと
記憶しています。

30才になって職歴もない、
特技もない。
もちろん貯金もない・・・。

ああどうすればいいんだろう・・・。
これからどうやって生きていこう・・・。

そんな中、
思いついたのが

「英語の勉強、
してみようかな・・・。」

このときは、

「英語ができたら何となく就職先探しに有利そう」

くらいに軽く考えていたのですが、
後から考えるとこの決断が、
その後の私の人生を大きく左右
したのです。

この時の決断がなければ、
私は英語、フランス語をはじめ多くの言語を
駆使して仕事をしていることも無かったでしょうし、

いまこうしてあなたにメールを書いているという
ことも無いでしょう。

ただ、英語の勉強を始めてからは、
私自身の能力の無さに
ほとほと自分が情けなくなりました。

単語を覚えたつもりでも忘れてしまう、
発音はうまく真似られない・・・。

海外経験もなく、中学からの義務教育しか
英語経験の無かった私に、
英語の勉強は想像以上に高い壁でした。

司法試験と同じように、
英語の勉強も結局挫折してしまうのか・・・。

そんな心細い心境の中で、
細々を勉強を続けていました。

ただ、これだとあまりにも効率が悪い・・・。
ということに気づくのにはそう時間が
かかりませんでした。

しかも私の場合は30才からのスタート。

多くの人は学生時代から、
人によっては幼少期から英語の学習を
本格的にスタートしている。

私が普通にやっても、
他の人に追いつくには、
またはせめて近づくには、
何年の歳月がかかるのだろう・・・。

不安と悩みで毎日を悶々としながら
勉強を続けている中で、
一つ気づいたことがありました。

英和辞典で単語を調べる際に、
繰り返し、頻繁に調べる語がある
ということ。

そして、その多くが「動詞」である、
ということです。

このことからヒントを得て、
「動詞」とは何かについて探求を
しているうちに、

「動詞」の驚くべき特徴に
気づいたのです。

それは、

「動詞」は、
時間を表す言葉である

ということです。

例えば
「行く」「食べる」「読む」
という動詞を考えてみても、
そこには必ず

時間の流れ
~~~~~~~~~

が組み込まれているのです。

時間の流れ。

考えてみれば
言語は歴史を記すもの、
出来事を記すもの、
意志を伝えるもの。

つまり時間を表現することが
核になっているのではないか、

ということに気づいたのです。

つまり、

「動詞」が文章の中心になっているのではないか?

というアイディアが
ひらめいたのです。

それから、
私は動詞について研究を始めました。

結果的に、
このことが私の語学力を飛躍的にアップさせ、
短期間で10ヶ国語をプロ翻訳者レベルまで
習得した秘訣となったのです。

今回のメルマガは長くなってしまいましたので、
次回に続きます・・・。

網野智世子

網野式・動詞フォーカスフランス語入門【ネイティブ音声付き・メールサポート付き】~本物のフランス語を身につけたい方へ~