こんにちは。
網野智世子です。
前回のメールでは、
私たち日本語ネイティブにとって、
動詞が使いこなせないのは勉強不足や
頭の優劣ではなく、
言語の環境からくる合理的な理由があった、
ということを書かせていただきました。
つまり、動詞の使い方を知っているか知らないか、
それだけで長い目で見ると大きな差が出てくることが
ご想像いただけると思います。
それでは、
「動詞を軸にして学ぶ」
とはどういうことでしょうか?
これについて考えてみましょう。
まず、これまでのメールでも書かせていただいた
とおり、センテンス(文)で軸になるのは動詞です。
そこで、ある言葉を見た場合に、
この言葉が動詞に対してどのような位置関係で、
どのような役割を持っているのかを識別することが
とても重要になってきます。
例えば、
J’apprends le francais.
(私はフランス語を習っている/勉強している)
というセンテンスでは、
軸になるのがapprends (アプロン)、
つまり「勉強する・習う・習得する」等を
表す動詞apprendreの1人称単数現在です。
(現時点でフランス語を全くご存じない方も、
「アプロン=勉強する」という動詞なんだな、
ということをなんとなく感じて頂ければ大丈夫です)
これを軸にすると、
「私」を表すJe (上の文では次にくる動詞が母音で始まるためJ’となります)は
apprendsの主語、
「フランス語」を表すlefrancaisはapprendsの目的語になっている
・・・のように考えることができます。
(フランス語にまったく触れたことがない方には分からないかも
しれませんが、現時点ではイメージだけでも掴んでいただければ
大丈夫です)
ここでは文法的に複雑な話に入ることは差し控えますが、
「センテンスの中での動詞以外の言葉と動詞との関係を把握する」
という思考をする上で、
非常に重要で念頭において頂きたいことを
ひとつだけお話いたします。
それは、
フランス語では「名詞」(上の文のような冠詞+名詞のセットも含む)は
センテンスの中では動詞の目的語になることが多い
ということです。
このことは英語にもあてはまりますし、
他のSVO文型主体の言語にもあてはまります。
私たち日本人学習者は、日本語の名詞、
特に漢字の名詞がセンテンスの中で
強い存在であることに影響されてか、
名詞に目が行きがちです。
これは、単語を覚える際にしても、
センテンスや文章を理解したり表現したりする上でも同様です。
しかし、フランス語を学ぶときは、
名詞が目に入ったら
「この名詞は、どういう動詞の目的語になるか」
ということを意識することをお勧めします。
つまり、動詞を主役と考えて、
この名詞はどのような主役と相性がいいのか、
ということを考えるわけです。
今までとはまったく違うアプローチ方法だといえますね。
次のメールでは、「動詞」に主眼をおいた学習方法に
ついてさらに掘り下げてみましょう。
網野智世子