「あなた、いつになったら合格できるの?」
これは、1970年生まれの私が、
29才の時に母から言われた言葉です。
私は今でこそフランス語をはじめ、
英語、中国語、スペイン語など10ヶ国語
を駆使してでプロ翻訳者として仕事を
させていただいておりますが、
私が最初の外国語である英語の
学習を本格的に始めたのは
30才になってからでした。
なぜそのようなことができたのか?
それをご説明するためには、
私が一番最初の外国語である
英語の学習を開始したきっかけまで遡って、
お話させていただく必要があります。
少々回り道に思えるかもしれませんが、
フランス語習得のための重要なヒントが
含まれている内容になります。
冒頭の、
「あなた、いつになったら合格できるの?」
この言葉を言われたのは、
当時私が毎年受験していた司法試験を
8年間連続で失敗した直後でした。
母から言われたこの言葉は、
言いづらそうな、あきれたような雰囲気の
母の声とともに今でも鮮明に記憶しています。
学生時代から司法試験の勉強をはじめ、
寝る時間も友人と遊ぶ時間も削って
文字通りガリガリと打ち込んだ勉強。
受験勉強のため就職もせず、
アルバイトしか経験のない29才。
人づてに学生時代の知り合いが
続々と結婚、海外勤務、昇進・・・
華やかに活躍をしているのを
聞くたびに、私の心は
深く沈んでいきました。
もうすぐ30才・・・。
いつまでこんな生活が続くんだろう・・・。
もう嫌だ・・・。
もしあなたが今まで、
語学の学習などで挫折をしたことが
あるのなら、
当時の私の気持ちを想像いただけるかと
思います。
語学学習をしていると、
「この単語はどうしていつも
覚えられないのだろう・・・。」
「どうして相手が何て言っているのかが
聞き取れないんだろう・・・。」
「どうして何度言っても、
私の発音は通じないんだろう・・・。」
悔しい、情けない・・・。
このような感覚を、
あなたも味わったことがあるでしょう。
私の受験時代も、
まさにそのような感情の連続でした。
その後、私は30才になり、
8年間続けた司法試験の受験を
諦めました。
その後1週間以上は、
何も手につかず、
廃人のように「ぼうっと」していたと
記憶しています。
30才になって職歴もない、
特技もない。
もちろん貯金もない・・・。
ああどうすればいいんだろう・・・。
これからどうやって生きていこう・・・。
そんな中、
思いついたのが
「英語の勉強、
してみようかな・・・。」
このときは、
「英語ができたら何となく就職先探しに有利そう」
くらいに軽く考えていたのですが、
後から考えるとこの決断が、
その後の私の人生を大きく左右
したのです。
この時の決断がなければ、
私は英語、フランス語をはじめ多くの言語を
駆使して仕事をしていることも無かったでしょうし、
いまこうしてあなたにメールを書いているという
ことも無いでしょう。
ただ、英語の勉強を始めてからは、
私自身の能力の無さに
ほとほと自分が情けなくなりました。
単語を覚えたつもりでも忘れてしまう、
発音はうまく真似られない・・・。
海外経験もなく、中学からの義務教育しか
英語経験の無かった私に、
英語の勉強は想像以上に高い壁でした。
司法試験と同じように、
英語の勉強も結局挫折してしまうのか・・・。
そんな心細い心境の中で、
細々を勉強を続けていました。
ただ、これだとあまりにも効率が悪い・・・。
ということに気づくのにはそう時間が
かかりませんでした。
しかも私の場合は30才からのスタート。
多くの人は学生時代から、
人によっては幼少期から英語の学習を
本格的にスタートしている。
私が普通にやっても、
他の人に追いつくには、
またはせめて近づくには、
何年の歳月がかかるのだろう・・・。
不安と悩みで毎日を悶々としながら
勉強を続けている中で、
一つ気づいたことがありました。
英和辞典で単語を調べる際に、
繰り返し、頻繁に調べる語がある
ということ。
そして、その多くが「動詞」である、
ということです。
このことからヒントを得て、
「動詞」とは何かについて探求を
しているうちに、
「動詞」の驚くべき特徴に
気づいたのです。
それは、
「動詞」は、
時間を表す言葉である
ということです。
例えば
「行く」「食べる」「読む」
という動詞を考えてみても、
そこには必ず
時間の流れ
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が組み込まれているのです。
時間の流れ。
考えてみれば
言語は歴史を記すもの、
出来事を記すもの、
意志を伝えるもの。
つまり時間を表現することが
核になっているのではないか、
ということに気づいたのです。
つまり、
「動詞」が文章の中心になっているのではないか?
というアイディアが
ひらめいたのです。
それから、
私は動詞について研究を始めました。
結果的に、
このことが私の語学力を飛躍的にアップさせ、
短期間で10ヶ国語をプロ翻訳者レベルまで
習得した秘訣となったのです。
今回のメルマガは長くなってしまいましたので、
次回に続きます・・・。
網野智世子